ラブ)” の例文
感情の南方地帯に属するもの、即ち所謂「情緒」は、それ自らラブの本有感であるゆえに、博愛や人道やの、すべての柔和なる道徳情操を基調している。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
真にラブの人とはキリストのごとき普汎的な愛し方をする人である。何ゆえに甲を愛して乙を愛せぬか。そこには他のプリンシプルが存在せねばならぬ。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
貴女はラブのためにジョージが入り用でした。けれどもジョージは悪い仕事をするために貴女が入り用だったのです。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
夫にラブしとるということをもって、大なる恥辱と心得るような見得坊がまたあるかい、しからんじゃあないか。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私はやがて中学校に進み、円満な家庭のさまや無邪気な子供の生活をうつした英語の読本、其れから当時の雑誌や何やらを読んで行くとラブだとか家庭ホームだとか云ふ文字もんじの多く見られる西洋の思想が
一月一日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
今にして思えば友がそのとき立腹したのみならず、私がラブの人であることを否認したのは根拠があった。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)