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愚妻
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ぐさい
命ぜらるゝ儀有がたく
存じ奉つる
然しながら上意のおもふき
愚妻へ申聞かせ其上にて
御請仕つりたし
小兒養育の儀は
偏に女の手に
寄處にて私しの一存に
行屆申さずとて
急ぎ御前を
江戸にて
知己の者故
其邊にて
逢たれども
愚妻を
愚妻よりも申せし通り新藤市之丞と云者より受取たる金に
相違なく
其譯は斯樣々々と
馬喰町中尋ね
歩行たる事まで委しく申聞ると
雖も久兵衞は少しも
聞入れず否其新藤市之丞と云は町所家主も知れず
當人が今の名前さへ知れぬ位の事なる由是第一
怪しき證據なり又
不審なるは