意固地いこぢ)” の例文
普段から、私などとは比較にもならないほどに、売薬の効果などを信用しようとしない科学者の兄が、意固地いこぢに自分を守らうとはしずにゐる。
イボタの虫 (新字旧仮名) / 中戸川吉二(著)
何でも今日まで千名ばかしの兵士を喜ばせたさうで、意固地いこぢな牧師の細君かないなどはおつ魂消たまげてしまつて
富岡は、また同じ事のむしかへしだと思ひながらも、意固地いこぢに寝たまゝの姿でゐた。ゆき子はせつかちに、何かを待ち望んで、マンリンの森の中の話を幾度もくり返してゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
一體おれうして何樣こんなに意固地いこぢなんだらう。俺が惡く意固地だから、家が何時いつもごたすたしてゐる。成程俺はさいいびり過ぎる………ンなら妻がにくいのかといふにうでもない。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
……また地獄ぢごくといふと、意固地いこぢをんな裸體はだかですから、りましたよ、ははは。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)