怖気おぞけ)” の例文
旧字:怖氣
自家うちまでいて来られては、父母や女房の手前もある。ましてこの為体のしれない物騒ぶっそう面魂つらだましい、伝二郎は怖気おぞけを振ったのだった。
彼のこんな様子が、思慮分別などはさらりと棄ててただもうたわいもない歓楽に酔ひ痴れた人達の胸に怖気おぞけを与へたことは云ふまでもない。
この頃年齢五十五歳、幕府の老中若年寄などさえ、彼の名を聞くと怖気おぞけを揮い、「恐ろしい人物! 恐ろしい人物!」こう云って憚かったほどである。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もちろん古島さんはすつかり怖気おぞけをふるつてしまつて、姉さまの紫色のモンペ姿がちらりと見えようものなら、血相かへて自分の部屋へ逃げこんでしまふのでした。
死児変相 (新字旧仮名) / 神西清(著)
生物以外に形の悪いもの、しょうの知れないものは食べられませんでした。シャコ、エビ、タコ等は虫か魚か分らないような不気味なものだといって、怖気おぞけをふるっておられました。
泉鏡花先生のこと (新字新仮名) / 小村雪岱(著)
とはいえ、これはなんらいわれのあるところではなかった。なぜなら、この事務局の全機構を形成している十人ばかりの官吏は、それでなくてさえいい加減怖気おぞけをふるっていたからである。
外套 (新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
そうかといって、お雪は怖気おぞけをふるって浅吉を毛嫌いするわけでもありません。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
宗教などという黴臭かびくさいと思われるものに関る気はないし、そうかといって、夫人のいったまこととかまごころとかいうものを突き詰めて行くのは、安道学らしくて身慄みぶるいが出るほど、怖気おぞけが振えた。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ガラッ八も、済んだことながら、今さら怖気おぞけをふるいました。
この運八の失策はたちまち城下の評判となり武士と云わず町人と云わずすっかり怖気おぞけふるってしまい、日の暮れるのを合図にして人々は戸外へ出ようともしない。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一と思いに殺したが、そうまでするとお藤も怖気おぞけを振った。
怖気おぞけふるう心持ち! 庄三郎は相手の様子を油断なくとっくりと窺った。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その掛け声その矢走りの世にも鋭く凄いのに怖気おぞけを揮って逃げ帰った。
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それで家中うちじゅうもうすっかり怖気おぞけふるっておりますので」
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「いやに怖気おぞけを振るい出したな」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そろそろ怖気おぞけふるう奴もある。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)