忠実まめやか)” の例文
旧字:忠實
この田崎は、武男が父の代より執事の役を務めて、今もほど近きわがより日々川島家に通いては、何くれと忠実まめやかに世話をなしつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
そして自分の出来るだけ忠実まめやかに働いて、叔父が我が挙動しうちを悦んでくれるのを見て自分も心から喜ぶ余りに、叔母のむごさをさえ忘れるほどであった。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
朝夕あけくれ黄金丸が傍にかしずきて、何くれとなく忠実まめやかに働くにぞ、黄金丸もその厚意こころよみし、なさけかけて使ひけるが、もとこの阿駒といふ鼠は、去る香具師こうぐしに飼はれて、種々さまざまの芸を仕込まれ
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
されどかの病みて美しき奥様と、健かにて忠実まめやかなる老女とは、今なほそこに在りやなしや。難波江も、名には聞かねば、知るよしなきぞうらみなる。(『女学雑誌』一八九七年三月一〇日)
磯馴松 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
... かれ頃日このごろはわれなずみて、いと忠実まめやかかしずけば、そを無残に殺さんこと、情も知らぬ無神狗やまいぬなら知らず、かりにも義を知るわがともがらの、すに忍びぬ処ならずや」「まことに御身がいふ如く、 ...
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
ここにこの里の荘官しょうやの家に、月丸つきまる花瀬はなせとて雌雄ふうふの犬ありけり。年頃なさけかけて飼ひけるほどに、よくその恩に感じてや、いとも忠実まめやかつかふれば、年久しく盗人ぬすびとといふ者這入はいらず、家は増々ますます栄えけり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)