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御見物
これは、
其の
三重濠で、
二の
丸の
奥でがす。お
殿様は、
継上下の
侍方、
振袖の
腰元衆づらりと
連れて
出て
御見物ぢや。
知つゝ
出家になし奉らんは
勿體なき儀に付今度我々
守護し奉つり江戸
表へ御供仕つるに
就ては一度江戸表へ御下りの
上は二度
京坂の
御見物も思召に
任せられざるべしと依て只今の
内京坂御遊覽の爲
當表へは御
出遊されしなり
委細は斯の如し相摸殿にも是にて
疑念有べからずと
辯舌滔々として水の
流るゝ如に
述たり是を
「お
氣に
入りまして
結構です、もみぢを
御見物でございますか。」