御民みたみ)” の例文
いや元々から朝廷の御民みたみであった者どもではないか。まして医家の眼から見れば、織田もない、明智もない、ひとしき御民としか見えん。御覧あれ。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御民みたみわれけるしるしあり天地あめつちさかゆるときへらくおもへば 〔巻六・九九六〕 海犬養岡麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
たとえ主と名のつく信長を一朝いっちょうに討つも、われも御民みたみ。信長も御民。弓矢の精神こころになど変りのあるべき。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれも天津日子あまつひこの遠い御末みすえのひとりなのだ。たれが此土このどの地獄をいのるか。同じ御民みたみの苦しみを計るか。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「奸賊とは誰をいうか。御民みたみみな大君おおきみのおおみたから、わけても予が膝下しっかよりそだてて労苦をともにし、いま綱条つなえだに仕えおる水戸の臣に、奸賊などと名づくるものはおらぬ」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)