御廟ごびょう)” の例文
日光の御廟ごびょうへ詣ったのが、ただ一つの思い出であり、東海道筋では、幼年のとき鎌倉の菩提寺ぼだいじへ参詣したことがあるりじゃ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同じ巻でも「の日」と「春駒はるこま」、「だびら雪」と「摩耶まやの高根に雲」、「迎いせわしき」と「風呂ふろ」、「すさまじき女」と「夕月夜おか萱根かやね御廟ごびょう
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ましてや、流れも清き徳川の源、権現様ごんげんさま御廟ごびょうをおつくろい申しあげるのですから、たとい、一藩はそのまま食うや食わずに枯れはてても、君の馬前に討死すると同じ武士もののふの本望——
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
昔、醍醐だいご帝の御代、御夢に弘法大師が現われ、檜皮色ひはだいろの御衣を着せるようにというお告げがあった。勅使中納言資澄すけすみ般若寺はんにゃじの僧観賢かんけんを連れて、高野山に上り、御廟ごびょうとびらを押し開いた。
御葉山みはやま御廟ごびょうのほうへ向って、われを忘れて、数珠ずずをあわせ、仏の弟子であるよろこびに声を出して念仏していた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
来年は、二十年目ごとの、日光御廟ごびょう御修営ごしゅうえいの年に当たる。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かつては、弘法大師も、この御廟ごびょうに百日の参籠をして、凡愚の闇に光を求めたといいつたえられている。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お……あの山門は磯長しながの叡福寺ではないか。……そうだ、聖徳太子の御廟ごびょうのある……」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武蔵には怪訝けげんであったが、彼の説明を口吻こうふんのままかりていうと、これなん河内かわち石川郡東条磯長しなが霊廟れいびょうに用いられてあった天平年代の古材で、年久しく荒れていた聖徳太子の御廟ごびょうの修築に
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)