御容貌ごきりょう)” の例文
「その御大家に一人のお嬢様がおありなすった……それはそれは、よい御容貌ごきりょうでな、すごいほどの美しさだ。そのお嬢様が、お年は十九の春……」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
働き出し玉う御容貌ごきりょうは百三十二そうそろ御声おんこえうぐいす美音錠びおんじょう飲ましたよりまだ清く、御心ごしんもじ広大無暗むやみ拙者せっしゃ可愛かわゆがって下さる結構づくゆえ堪忍ならずと
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
どんな性質でいらっしゃるとか御容貌ごきりょうのこととか、私はよく知らないのでございます。内気なおとなしい方ですから、時々は几帳きちょう越しくらいのことでお話を
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
おしお おお、それもごもっとも、みやこ育ちのおまえ様がたが、ここらの浜辺に流浪なされては、ほかに世渡りのすべもなし、御容貌ごきりょうのよいのを幸いに、ゆききの人になさけを売る。
平家蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大兵肥満だいひょうひまんでいらっしゃいますが、若殿様は中背ちゅうぜいの、どちらかと申せば痩ぎすな御生れ立ちで、御容貌ごきりょうも大殿様のどこまでも男らしい、神将のようなおもかげとは、似もつかない御優しさでございます。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
すすめした者があります、よしんば身売りをお薦め申したところで、失礼ながら、御容貌ごきりょうは別として、あなたのお歳では、判人はんにんが承知を致しますまい
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私は思いがけない大きなおやしきへお勤めすることになりまして、たくさんな女の方を見ましたが、殿様の奥様の御容貌ごきりょうに比べてよいほどの方はないと長い間思っていました。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)