御入おんいり)” の例文
奥方も御同列にて御入おんいりありしが、瑞雲院様愚老を側近くお呼び被成なされ不便ふびんなれ共それがし今宵汝が首を所望致すぞと仰せられ、既にお手討にも可被成なさるべき御様子也
「文久癸亥三月四日あかつき寅時とらのとき、大津御旅館御発駕、(中略)三条大橋御渡、三条通より室町通へ上り、二条通を西へ、御城大手御門より中御門へ御入おんいり、御玄関より御上り」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
以て主人小兵衞儀は仕入方にまゐり候間何日ごろまかり歸り申べくや程合も計りがたく候に付先々御歸りありて四五日もたち候はゞ又々御入おんいり下さるべしと云せければ三吉は是を聞てはら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
黙って敏活の気のあふれた目に、大空を見ておわした姫様は、これにうなずいて御入おんいりがあろうとする。道はもとより、馬丁べっとう義作続いて島野まで、長いものに巻かれた形で、一群ひとむれになって。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ごく気のかろき御前にて、案内もわで御意のまま木戸口より御入おんいりある。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)