御僧おんそう)” の例文
「ほんとは、たったいま、六波羅の御合戦から近江番場のくわしいことが、さる御僧おんそう文知ふみじらせで、わかって来たのでございまする」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こと此頃このごろながし、東京とうきやうときから一晩ひとばんとまりになつてならないくらゐ差支さしつかへがなくば御僧おんそう御一所ごいつしよに。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
祖母は、有難い御僧おんそうに、したおびの布施をする時は、高僧から下足のおじいさんにまで、おなじように二締ふたしめずつやった。祖母は別段、和讃歌もお経も覚えようとしなかった。
「諸般のご挨拶あいさつは抜きと致し、さて直ちにおうかがい致したきは、鬼王丸めの悪亡魂、昨夜姫と御僧おんそうとに現われお心を驚かせたと申すこと、こは誠でござりましょうや?」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ヂョン フランシスしゅう御僧おんそうはゐさしますか! なう/\、御坊ごばう
「姿を映して見るものなり、御僧おんそうも鼻を映して見たまえかし。」といいさま鏡を差向けつ。蝦蟇法師は飛退とびすさりて、さも恐れたる風情にて鼻を飛ばして遁去にげさりける。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
東京を出る時から一晩のとまりが気になってならないくらい、差支さしつかえがなくば御僧おんそうとご一所いっしょに。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さらば、さらば、御僧おんそう。この人夢の覚めぬ間に、と片手をついて、わかれの会釈。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)