徒士目付かちめつけ)” の例文
徒士目付かちめつけ三人、書役かきやく一人ひとり、歩兵斥候三人、おのおの一人ずつの小者を連れて集まって来ている。足軽あしがる小頭こがしら肝煎きもいりの率いる十九人の組もいる。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
明日あしたの空模様も、まず、晴と見ながら、表方へ来ると、ちょうど、徒士目付かちめつけ神崎かんざきろうも、供廻りの用意を終って、御用部屋の大きな火鉢のそばで一ぷくっていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時、御跡改おあとあらための徒士目付かちめつけの口からもれた言葉で、半蔵は尾州藩主が江戸から上って来た今度の旅の意味を知った。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
医者の詰所であるひのきに二人は控えていて、内匠頭を呼び出した。警固けいごとして徒士目付かちめつけの屈強なのが、三名ずつ両側に居並ぶ。その中ほどへ、内匠頭は静かに坐った。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
都筑駿河つづきするがの役宅には例の徒士目付かちめつけが三人を待ち受けていて、しばらく一室に控えさせた後、訴えじょの方へ呼び込んだ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
梅屋と本陣とは、呼べばこたえるほどのむかい合った位置にある。午後に、徒士目付かちめつけの一行は梅屋で出した福草履ふくぞうりにはきかえて、かわいた街道を横ぎって来た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
思いがけない尾張藩の徒士目付かちめつけ作事方さくじかたとがその日の午前に馬籠の宿しゅくに着いた。来たる三月には尾張藩主が木曾路を経て江戸へ出府のことに決定したという。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)