後押あとおし)” の例文
帳場ちやうばから此處こゝまゐうちも、とほりの大汗おほあせと、四人よつたり車夫しやふくちそろへ、精一杯せいいつぱい後押あとおしで、おともはいたしてまするけれども、前途さきのお請合うけあひはいたされず。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
由「そこへ私が後押あとおしで、旦那の下帯で綱ッぴきと来たら水沢山もかるく引上げました」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
偉い人はたった一人でいる時は、宿賃の工面は愚か車の後押あとおしも出来ません。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
桜の花と呼ばれた娘義太夫の竹本綾之助たけもとあやのすけや、藤の花の越子こしこや、桃の花の小土佐こどさが乗っている人力車の、車輪や泥除どろよけに取りついたり、後押あとおしをしたりして、懸持かけもちの席亭せきから席亭へと、御神輿おみこしのように
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「き様、逢阪のあんころ餅へ、使者に、後押あとおし駈着かけつけて、今帰った処じゃな。」
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)