廻状かいじょう)” の例文
「あッ、わかりましたッ。……すると、あの縁起まわしの大黒絵の刷物は、絵ときで場所を知らせる廻状かいじょうのようなものだったんで……」
汁講しるこう廻状かいじょうはまわった。期日の夜は来た。久しぶり西山荘の一席には、おととしの一夜と同じように、君臣水魚すいぎょつどいが見られた。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つけに来るといって、廻状かいじょうで用心していたっけ、ことによるとその火つけの悪者でも追い込んだかな
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
走りやっこ久太きゅうたが、三がにちの町飾りや催し物の廻状かいじょうを持ってきたあとから、かしらの使いが借家の絵図面を届けてくる。角の穀屋こくや無尽むじんの用で長いこと話しこんで行ったばかりだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しまひまで見ずに廻状かいじょう年の暮
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
「久しぶり、また汁講しるこうを催そう。このたびの世話役は、又四郎と林助に申しつける。近日のうちに廻状かいじょう、支度など、胆煎きもいりせい」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、彦太は、それを理由に、廻状かいじょうがきても、寄合いに出なかったが、もう、退ッぴきならないものが、彼へ迫っていた。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
途上、聞くところによれば、また追々に帰って来た水野助三や近藤無一などの報告に徴しても、彼の廻状かいじょうが届く前に、織田遺臣のあらかたは、期せずしてみな清洲へ向っていることがわかった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、側へ寄って来て、彼の手に一通の廻状かいじょうを握らせ
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武州の榛沢村はんざわむらから、俺の手へも、廻状かいじょうが来ている
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)