峻峰しゅんぽう)” の例文
今まで海に面していた眸子ひとみを転ずると、峠へ出るまでは見えなかった普賢ふけん峻峰しゅんぽうが、突如として道の行手を遮って、目の前に表われる。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
四国阿波あわの国第一の峻峰しゅんぽう、つるぎさんいただきから一羽の角鷹くまたかが、バタバタバタと翼を鳴らして斜めに飛び、やがて、模糊もことしたかすみの底へ沈んで行った。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでに峻峰しゅんぽうが見え出して来て、その裾に雲がかたまり薄く藍の色に見えている。午後三時頃 Zugツウグ という駅に著いた。ここは前面には湖を眺め、うしろに山を負うた村であった。
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
他の多くはそれら峻峰しゅんぽう取囲とりかこんだ高低様々の山々である。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
この大きな盆景を隔ててまゆ山の秀麗な峻峰しゅんぽうと相対し、眉山の裾をひく不知火しらぬいの海には九十九つくも島が絵のように浮んでいる。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
甲斐かい連山れんざん秩父ちちぶ峻峰しゅんぽうも、みなこの晴れの日を審議しんぎするもののように御岳のまわりをめぐっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)