山椒さんせう)” の例文
とほりがかりにた。山椒さんせうを、近頃ちかごろおなあたりすまはるゝ、上野うへの美術學校出びじゆつがくかうでわかひとから手土産てみやげもらつた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一人は太古たいこからかれない泥沼の底の主、山椒さんせううをでありたいといひ、ひとりは、夕暮、または曉に、淡く、ほの白い、小さな水藻みづもはなでありたいと言ふ、こんな二人。
こんな二人 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
山椒さんせうの皮を粉末にしたのに、胡椒こせうと石灰と、灰と何やら得體の知れぬ南蠻物らしい藥品を混ぜ、大人おとなの拳固ほどの一丸にして、雁皮がんぴに包んだのを相手の面上に叩き付け
荊棘いばら山椒さんせうの樹のやうなもので引爬ひつかいたのであらう、雨にぬれた頬から血が出て、それが散つて居る、そこへ蝋燭の光の映つたさまは甚だ不気味だつた。漸く其処へ歩み寄つた晩成先生は
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
山椒さんせうつぶでも、ピリッとからいぞ
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
山椒さんせううをたる主人と、清からんとして、山椒さんせううをの住みにくいのを忘れてしまふ私との問答。
こんな二人 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)