小麦こむぎ)” の例文
旧字:小麥
ところが、灰色ネズミたちが小麦こむぎを一つぶのみこんだかのみこまないうちに、中庭なかにわのほうから、するどふえが、かすかにひびいてきました。
それは田舎いなかなつのいいお天気てんきことでした。もう黄金色こがねいろになった小麦こむぎや、まだあお燕麦からすむぎや、牧場ぼくじょうげられた乾草堆ほしくさづみなど、みんなきれいなながめにえるでした。
「旦那んさ。みんなもう行ってあぜへはいってるんだ。小麦こむぎの草をとっているよ。」
ポラーノの広場 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
余等が帝劇のハムレットに喜憂きゆうそそいで居る間に、北多摩きたたまでは地が真白になる程雹が降った。余が畑の小麦こむぎも大分こぼれた。隣字となりあざでは、麦はたねがなくなり、くわ蔬菜そさいも青い物全滅ぜんめつ惨状さんじょううた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)