小豆島しょうどしま)” の例文
関西ではヨソ行キともうが、おもにお祭や節供せっくの日に着るからこれをマツリゴ(紀州および小豆島しょうどしま)、またはセツゴ(東北処々)などと謂うている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「桃だけ買うつもりでしたらな、柳までがあってな、すっかり小豆島しょうどしまの節句を思い出してな、夏樹さんに話したら、それならそれでいこうという相談になってな——」
雑居家族 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
秋山さんはあれから四国の小豆島しょうどしまへ渡って丸金醤油の運搬夫うんぱんふをしているうちに、土地の娘と深い仲になったが、娘の親が大阪で拾い屋などしていた男にはらぬと言って、引き離されてしまったので
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
小豆島しょうどしま寒霞渓かんかけいなども神掛かんかけとはいう者が少なくなったろうと思う。木曾の福島はフクジマと濁って上声じょうしょうにいうべきであるが、今日は岩代いわしろの福島などと同じになってしまった。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
戸籍上こせきじょう家督かとくは長男の隼太の子供が継いでいるとはいえ、その子は再婚した母親につれられて、九州の三池に暮しているし、長じてふたたび小豆島しょうどしまに帰り、祖先をまつることになるかどうかは分らない。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
讃岐さぬき小豆島しょうどしま寒霞渓かんかけいもそれらしいからもとはこの方面にも同じ風習があったかと思われる。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この一月の末に、足かけ四年ぶりに郷里の小豆島しょうどしまへ帰った。
瀬戸内の小魚たち (新字新仮名) / 壺井栄(著)
讃岐さぬき小豆島しょうどしま餓鬼飯がきめしなどは、十六、七歳の女子のみが参与するらしく、伊予の宇和うわ地方の御夏飯おなつめしにも、年頃としごろの娘ばかりの集会があるということだが、その他の多くの土地ではかしらに立つ女は
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「小んまい石塔に、小豆島しょうどしま甚作、いうて書いてあるといや」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
瀬戸内海では讃岐さぬき小豆島しょうどしまなどにおいて、梟のことをヨシトクといっているが、これにも半分まで同じ話がある。昔ある村に母と二人の娘が住んでいて、その娘の名は姉がヨシ、妹がトクであった。
「でも、ああいうとこ、もうこりこりよ。わたしきらい。いつもあんなの。修造くんによろしくっていった人もあったわ、みんなふよごろ(口ばかり達者でごろごろしている人間)みたいですもの。小豆島しょうどしまならさしずめ、みんなふよごろだといわれるわ。」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)