小薙刀こなぎなた)” の例文
三尺五寸の小薙刀こなぎなたを持たれ、二十余人の家臣と共に、合戦のお指図あそばされおられたが、勝手の明神の前あたりより、敵大勢こみ入ったるをご覧じ
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
小薙刀こなぎなたい込んで、かれの馬前を、馬に負けじと駈けきそってゆくので、利家は目ざわりなと思って
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二十一、程なく小笠原少斎、紺糸の具足ぐそく小薙刀こなぎなたひつさげ、お次迄御介錯ごかいしやくに参られ候。未だ抜け歯の痛み甚しく候よし、左の頬先れ上られ、武者ぶりもいささかはかなげに見うけ候。
糸女覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その影こそ、不敵な曲者くせものにまぎれもあらずと、胸を躍らしたのは衝立ついたてのかげに身をひそめていた竹屋三位。いつのまにか切目長押きりめなげしに掛けられてあった小薙刀こなぎなたを引き抱えている。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
瑤々ようようれんをゆるがしてゆく貴人のくるまがある。夕風のなかを美しい魚のように歩く美女の群がある。小薙刀こなぎなたを小脇に左の手に数珠じゅずを持って織屋はたやの門に立ちのぞいている尼さんがある。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)