小平こへい)” の例文
それはふたりの村の、かじ屋の三男の小平こへいさんでした。小平さんは、そのまえの年の春ごろ、学校を卒業しました。
いぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「ナーニあっしは善人で、綽名あだなは仏、名は小平こへい。虫けら一匹殺しゃあしません。もっとも住居は巴小路で」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
小仏こぼとけ小平こへいがすんで、ようやく杉戸を下しましたが、それからが、息を次ぐ暇もないほどの早業なんです。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
其の話はお岩のさんの手伝に雇入れた小平こへいと云う小厮こものが民谷家の家伝のソウセイキと云う薬をぬすんで逃げたことであった。其の時屏風びょうぶの中から手が鳴った。宅悦は腰をあげた。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
仁「どうしたんだい小平こへい兄貴、やア何うしたんだ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それは二人の村の、鍛冶屋かぢやの三男の小平こへいさんでした。小平さんはその前の年の春頃、学校を卒業しました。
(新字旧仮名) / 新美南吉(著)
と、戸板を蹴ると、今度は裏に返り、藻をばらりと被った小仏こぼとけ小平こへいが、「おしゅうの難病、薬下され」と、片手を差し出すかと思いのほか、それも背後うしろを向いているのだった。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
其の時菊五郎はおいわ田宮たみや若党わかとう小平こへい、及び塩谷えんや浪人佐藤与茂七さとうよもしちの三役を勤めたが、お岩と小平の幽霊は陰惨を極めたもので、当時の人気に投じて七月の中旬から九月まで上演を続けた。
幽霊の衣裳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)