家毎やごと)” の例文
溝石で路をくぎって、二間ばかりの間の軒下の土間に下りた、蔵人は踏留まるがごとくにして、勇ましくと立ったが、秋風は静々と町の一方から家毎やごとひさしを渡って来て
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
曲輪くるわうらかい眼隱めかくし板の透間すきまよりほのかに見ゆる家毎やごとあかしお安は不審いぶかり三次に向ひ爰は何と申所にやまたあのにぎやかのは何所なりととはれて三次は振返ふりかへあれあれがお江戸の吉原さお文さんは那内あのうちに居られるのだしてお富さんの居るお屋敷もたんとははなれて居らぬ故二人に今夜はあはせてあげんといはれてお安は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)