客室きやくま)” の例文
その富豪かねもちも皮肉哲学者に、自家の邸宅やしきを自慢したいばかりに、飾り立てた客室きやくまから、数寄すきを凝らした剪栽うゑこみの隅々まで案内してみせた。
座敷ざしきは——こんな貸家建かしやだてぢやありません。かべも、ゆかも、みな彩色さいしきしたいしいた、明放あけはなした二階にかい大廣間おほひろま客室きやくまなんです。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
東紅梅町ひがしこうばいちやうのあの家は書斎も客室きやくまも二階にあつたのでした。階下した二室ふたま続いてあつた六畳にわかれて親子は寝て居ました。亡霊の私が出掛けてくのは無論よる夜中よなかなのです。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)