官爵かんしゃく)” の例文
義はあっても、官爵かんしゃくはない。勇はあっても、官旗を持たない。そのために玄徳の軍は、どこまでも、私兵としか扱われなかった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俗にいう武士の風上かざかみにも置かれぬとはすなわちわが一身いっしんの事なり、後世子孫これを再演するなかれとの意を示して、断然だんぜん政府の寵遇ちょうぐうを辞し、官爵かんしゃく利禄りろくなげう
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
顕家の若い眉と共に全軍は“士気シキテンチユウス”のがいだった。ゆらい、中央の官軍はいたずらに官爵かんしゃくを誇って老いやすかったが、みちのくの官軍は若かった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「儀礼はやめ給え。君と予とは、幼年からの友、官爵かんしゃくの高下をもって相見るなど、水くさいじゃないか」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年暮くれのわずかな日も、彼はむだには過ごしていない。幕府の名で、奏請そうせいを仰ぎ、堀川ノ光継みつつぐ、洞院ノ実世さねよ、そのほか、後醍醐について行ったとみられる十数家の公卿の官爵かんしゃくをけずり、また
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また噂のとおりな才華を示したら、官爵かんしゃくおとして、遠地へ追い、この天下繁忙の時代に、詩文にのみ耽っているやからの見せしめとしたらよろしいでしょう。一挙両得の策というものではありませんか。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
罪ほろぼしの善を地に植え、時により官爵かんしゃくを帯ぶる身となるやも知れぬ。だが私はすでにぶんにあらずとかたく腹はきめているのです。どうか山寨さんさい一同の願いを入れて、いまはおききとどけ下されたい
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
およそ嫌なものは、官爵かんしゃくを誇って、朝廷のご威光を
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
即座に、彼は官爵かんしゃくを解かれて、悄然しょうぜんと退場した。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)