太刀風たちかぜ)” の例文
大工はさげふりと差金で柱やけたを測る。彫刻家は眼の触覚がつかむ。所謂太刀風たちかぜを知らなければ彫刻は形を成さない。
触覚の世界 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
はい、ちょうど駆逐艦太刀風たちかぜが、鹿島灘かしまなだの東方約二百キロメートルのところを航海中でありましたので、それに例の怪電波の方角を測ってもらいました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ひきぬいたのは、二尺四寸の道中差どうちゅうざし、竹童はぎょッとしてはね返った。とすぐに、するどい太刀風たちかぜがかれのみみたぶから鼻ばしらのへんをブーンとかすった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太刀風たちかぜと一緒に、平次の右の手は激しく頭上に動きました。が、別に土手の下を覗くでも、四方をキョロキョロするでもなく、そのまま引返して新鳥越の方へ——
いかに二郎、保元ほうげん弓勢ゆんぜい平治へいぢ太刀風たちかぜ、今も草木をなびかす力ありや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
太刀風たちかぜと一緒に、平次の右の手は激しく頭上に動きました。が、別に土手の下を覗くでも、四方をキヨロキヨロするでもなく、そのまゝ引返して新鳥越の方へ——
「おのれッ」とさえぎる捕手を斬りとばして、夜叉やしゃを思わせる太刀風たちかぜに、ワッと、ひらいて近よる者もない折から穴山梅雪あなやまばいせつ一手の剛者つわものが、捕手に力をかして、からくも龍巻をしばりあげた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さッと一陣の太刀風たちかぜをなげた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大妻籠おおつまご無極むきょく太刀風たちかぜ
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)