大威張おおいば)” の例文
『よし、よし、これで勘弁してやる、』——そうあの旅の御衆が大威張おおいばりで言うじゃありませんか。これにはわたしも驚きましたよ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さっきから線路の左がわで、ぐゎあん、ぐゎあんとうなっていたでんしんばしらの列が大威張おおいばりで一ぺんに北のほうへ歩きだしました。
月夜のでんしんばしら (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そのために、兎の味方の幾人いくにんかは彼を見すてて、亀の方につきました。そして、亀の大威張おおいばりな言葉を、大声で喝采しました。
兎と亀 (新字新仮名) / ロード・ダンセイニ(著)
道頓堀どうとんぼりの芝居に与力よりき同心どうしんのような役人が見廻りに行くと、スット桟敷さじきとおって、芝居の者共ものどもが茶をもって来る菓子を持て来るなどして、大威張おおいばりで芝居をたゞ見る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
長方形の硝子箱——と云っても勿論一方だけが、硝子張になっているのではあるが、勿体もったいらしく置いてあった。山鳥や鴨の剥製が、大威張おおいばりでその中に蟠踞している。
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼らは、仲よく、大威張おおいばりで帰って来る。ルピック氏は二人の姿を見かけると、驚いてこういう——
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
それが西洋料理屋へくと一円も出せば大威張おおいばり、一円以上の西洋料理は一度に食べ切れないほどあります。給仕の男に十銭の祝儀を遣ったところが一円十銭で済みます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「そりゃ、お別れしたくはないのよ、本当は。あんたは、失業者で、あたしはウェイトレス。こんな騒ぎになったればこそ、あんたも大威張おおいばりで、物を拾って喰べられるしサ……」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は悪魔払いでもした顔で、大威張おおいばりです。そこで、僕は云ってやりました。
目羅博士の不思議な犯罪 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しゅっこが、大威張おおいばりで、あの青いたんぱんを、淵の中にんだ。それから、みんなしぃんとして、水をみつめて立っていた。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「二本さして、青山吉左衛門で通る。どこへ出ても、大威張おおいばりだ。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「おじさん、今度は大威張おおいばりで帰れるネ」
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして私たちは野原でわかれて私は大威張おおいばりで家に帰ったのです。すると兄さんがまめたたいていましたが笑って言いました。
(新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
男の子が大威張おおいばりで云いました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)