大仏だいぶつ)” の例文
旧字:大佛
ち得た所は物びてゐる。奈良の大仏だいぶつかねいて、其余波なごりひゞきが、東京にゐる自分の耳にかすかにとゞいたと同じ事である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
日和ひよりおりなどにはわたくしはよく二三の腰元こしもとどもにかしずかれて、長谷はせ大仏だいぶつしま弁天べんてんなどにおまいりしたものでございます。
長谷はせ大仏だいぶつ辺に館があったので、地名オサラギを当てて、大仏殿とよばれ、北条一族中ではもっとも声望があった人だから、この手の総大将としては申し分のない人だった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからがけになって、ぐんが違い、海のおもむきもかわるのでありますが、そのがけの上に、たとえて申さば、この御堂みどうと背中合わせに、山の尾へっかかって、かれこれ大仏だいぶつぐらいな
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)