夜詰よづめ)” の例文
かれ以外に、夜詰よづめにも、常より多くの侍がつめたが、妙に、その晩は徳島城に鬼気があった。いんにみちた人の心が鬼気をよぶのだ。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実は兄五郎治は此の程お上屋敷のお夜詰よづめに参って居ります、と申すは、大殿様御病気について、兄も心配いたしまして、えゝ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
役人溜りでは、夜詰よづめの同心がちょうど手紙を書きだしたところで、巻紙まきがみに「拝啓はいけい陳者のぶれば……」と書きかけ、そのすずりの水もまだ乾いていない……
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
お北の父の瓜生長八は、城中へ夜詰よづめの番にあたっていたので、その夜は自宅にいなかった。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「——高音たかねをだしてけば、夜詰よづめさむらいが眼をさますであろうし、いまのぐらいでは、あのほりの向こうへまではとどかぬであろうし……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御殿ではお夜詰よづめの方々が次第/\にお疲れでございます。お医者は野村覺江のむらかくえ藤村養庵ふじむらようあんという二人が控えて居ります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
夜詰よづめの御家来も多勢おおぜい附いて居ります、其の中には悪い家来が、くば毒殺をしようか、あるいは縁の下から忍び込んで、殺してしまう目論見もくろみがあると知って、忠義な御家来の注意で
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)