夜々よよ)” の例文
いつもほこりっぽい建物たてもの屋根やねからがって、あちらの屋根やねあいだちるのでした。くさは、夜々よよ大空おおぞらかがやほしひかりあおいで、ひとりさびしさにいたのです。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
子を思えばわたしとても寝られぬ夜々よよが数々ある。わたしという覚束おぼつかない母がようやく育てた、ひとりのこども。わたしに許しを得て髪を分けたこども、いっしょに洋行したこども。
愛よ愛 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
獄裡にあっても謹慎きんしんしていたが、強度のヒステリーのために、夜々よよ殺したものに責められるように感じて、その命日になると、ことに気が荒くなっていたということであった。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
夜々よよの通ひは何方いづかた
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう二太陽たいようひかりられないんでなかろうか、そして、あの夜々よよに、大空おおぞらかがや大好だいすきなほしひかりのぞむことができないのでなかろうかと、うれいましたが、また
つばきの下のすみれ (新字新仮名) / 小川未明(著)