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多病
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たびやう
起さんと志ざし牛馬に
等しき
荒稼ぎして
勵めども元より母は
多病にて
始終名醫にも掛しかど終に
養生叶はず
亡しく成しが其
入費多分有る所へ又叔母を
養ひ妻を
以て
家督に仕つり候儀を右兩人の者共
不得心にて藤五郎弟藤三郎を
嫡子に立てべき
旨主人へ度々
相勸め候得共藤三郎儀は未だ
幼少と申し其上
多病の
生れ付に御座候ゆゑ主人主税之助
承知仕つらず候を
旨となし
苟にも
曲し事は
嫌ひ善は善惡は惡と
一筋にいふ者なれば
如何せん
水清ければ
魚住ずの
譬に
洩ず朋輩の
讒言に依り浪人なし此
裏借家へ
移り住み近頃
多病になりたれど心持のよき其日は此護國寺の門前へ
賣卜に出
僅の錢を