壺焼つぼやき)” の例文
と、十軒店じっけんだなの治郎さんの、稲荷鮨いなりずしが流してくるようにならなければ、おでんやや、蠑螺さざい壺焼つぼやきやも出なかった。
机竜之助が東海道を下る時、裏宿七兵衛うらじゅくしちべえはまた上方かみがたへ行くと見えて、駿河するがの国薩埵峠さったとうげの麓の倉沢という立場たてばの茶屋で休んでいました。ここの名物は栄螺さざえ壺焼つぼやき
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ねぎとチーズを壺焼つぼやきにしたスープ・ア・ロニオンとか、牛舌オックス・タングのハヤシライスだとか、莢隠元アリコベルのベリグレット・ソースのサラダとか、彼がふだん好んだものを註文ちゅうもんしたので鼈四郎は慥え易かった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
毎晩そんな時間になると、大抵蜜豆とか、芋の壺焼つぼやきとか、鯛焼たひやき葛餅くずもちのやうなものを買つて来て食べる癖がついてゐたが、その晩もいくらかメンタルテストの意味で、咲子におでんを買はせにやつた。
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
ははあ、栄螺さざえ壺焼つぼやきといった形、大道店で遣りますな。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)