壺屋つぼや)” の例文
中で琉球の壺屋つぼやは忘れられない窯場の一つです。おそらくは日本中で伝統的な窯場としては第一に推すべきものでありましょう。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
まあ待つがいい。世は輪𢌞りんねだ。パリーの精神、偶然で子供を作り宿命で人を作るその悪魔は、ラテンの壺屋つぼやの車を逆さに回して、新しい壺を古代の壺にしようとしている。
早くも食うてしまって出て来たり、さようなら行ってまいります、と肩ぐるみに頭をついと一ツげて煙草管きせるを収め、壺屋つぼや煙草入りょうさげ三尺帯に、さすがは気早き江戸ッ子気質かたぎ草履ぞうりつっかけ門口出づる
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一刻毎に集り来る人の群、殊に六時の神戸急行は乗客が多く、二等室も時の間に肩摩轂撃けんまこくげきの光景となった。時雄は二階の壺屋つぼやからサンドウィッチを二箱買って芳子に渡した。切符と入場切符も買った。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
琉球の窯場を壺屋つぼやと呼ぶ。古くは色々の個所に窯場があった。中で湧田とか知花とか、名がよく聞える。しかし天和てんなの頃一カ所に集められ、今の壺屋を形造った。
現在の日本民窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
那覇なは壺屋つぼやという町があって、そこに多くの窯があって仕事をします。「南蛮なんばん」といって上釉うわぐすりのないものと、「上焼じょうやき」と呼んで釉薬くすりをかけたものと二種類に分れます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
壺屋つぼやは戦禍を免れたよし聞き及びましたが、仕事が無事に続くよう祈って止みません。何しても特色ある窯場かまばで、少くとも伝統を守っているものは、一つとして醜いものはありませんでした。
沖縄の思い出 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)