士官しかん)” の例文
騎兵大隊長きへいだいたいちょう夫人ふじん変者かわりものがあって、いつでも士官しかんふくけて、よるになると一人ひとりで、カフカズの山中さんちゅう案内者あんないしゃもなく騎馬きばく。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
市ヶ谷いちがや士官しかん学校のそばとかに住んでいたのだが、うまやなどがあって、やしきが広過ぎるので、そこを売り払って、ここへ引っ越して来たけれども
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
忽ち其墓の前に名刺めいしを置いて落涙らくるいする一青年せいねん士官しかん姿すがたが現われる。それは寄生木やどりぎ原著者げんちょしゃである。あゝ其青年士官——彼自身最早もう故山の墓になって居るのだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
巡視の士官しかんは、苦笑をして、後に従っている下士官かしかんをふりかえった。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自分で病気にかかっていながら、気が付かないで平気でいるのがあの病の特色です。私の知ったある士官しかんは、とうとうそれでやられたが、全くうそのような死に方をしたんですよ。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)