ふや)” の例文
学校の貧乏なところへもって来て、町や郡からの輔助はけずられる、それでも教員の数はふやさんけりゃ手が足りない。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
使者との公式な対談もすみ、やがて、遠路をねぎらう饗応きょうおうに、しょくふやされたのであろう。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜廻りをふやし、時候しゆん外れの火の番を置き、とびの者まで動員して、曲者狩に努めましたが、冬からの跳梁てうりやうを指をくはへて眺めるばかり、かつて曲者の姿を見た者もなく、よしんば見た者があるにしても
なにしろ僕なぞは、三十万の借財を親から譲られて、それを自分の代に六十万にふやしました……
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
塾では更に教室も建増したし、教員の手もふやした。日下部くさかべといって塾のためには忠実な教員も出来たし、洋画家の泉も一週に一日か二日程ずつは小県ちいさがたの自宅の方から通って来てくれる。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)