堰止せきと)” の例文
「あのあたりで、鈴ヶ滝の水を堰止せきとめ、機をはかって堰を切れば、城下の敵勢は一挙に水びたしともなしえようが?」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かほどの処を攀上よじのぼるのに、あえて躊躇ちゅうちょするのではなかったが、ふとここまで来て、出足を堰止せきとめられた仔細しさいがある。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そんな声が前のほうから聞え、まるで堰止せきとめられた洪水が逆流するかのように、犇ひしと押詰めた群衆がうしろへと崩れて来た。おせんは幸太の腕へ両手でしがみついた。
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
まじらふものがあれば堰止せきとむることも出來できるものと、舅御しうとご才覺さいかくにて、きふ婚禮こんれいこときまった。
ゴーストップが火に飾られた流亡るぼうの民を堰止せきとめては放出する
原爆詩集 (新字新仮名) / 峠三吉(著)
言ひ終るや、堰止せきとめかねし溜涙ためなみだ、はら/\と流しぬ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「いかにせん、このところ山岳地方の大雨に、日々水嵩みずかさを増し、これを堰止せきとめようにも、工事のすべもありません」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「上流の森林をって、葉の茂ったままの大木を矢つぎ早に押し流してみたら、或いは堰止せきとまるかも知れませぬ」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、一応、唐橋の口で堰止せきとめてから、名前、職場の位置、下職や人足の頭数など、いちいち点呼してから
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)