地機じばた)” の例文
勿論養蚕ようさんとか地機じばたとか糸繰いとくりとか、若干農村に縁のある内職も探し得たであろうが、何にしても労働が土と関係が薄くなるようでは
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
高田近くの磯野いその御所ごぜで細々ながらも地機じばたで「大和絣やまとがすり」を織るのを見られるでしょう。しかし下り坂なのをどうすることも出来ません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
腕尽うでずくにも金尽かねずくにも及ばぬものだというが、これは左様かも知れませぬ、まア呉服屋などで、不図ふと地機じばたい、お値段も恰好かっこう反物たんものを見附けたから買おうと思って懐中ふところへ手を入れて見ると
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
評判が高くなったため、まがいものも作られはしますが、少くとも一部は本当に手堅い仕事を続けます。糸も手紡てつむぎで、染めも正藍しょうあいを用い、昔風な地機じばたで織ります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
昔の地機じばたひもでからだを機にわえたものだったが、心のやさしい女なのでそのわずらわしさもいとわず、紐をほどき機から下りて、遠くへ水を汲みに行って来て飲ませた。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そのためすべてに沖縄のふうが残り、このつむぎもその影響で出来たものであります。本来は手紡てつむぎの糸を地機じばたで織ったのでありますが、段々普通の絹糸を使うようになりました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
家に地機じばたの置いてあった頃でも、夏は少なくとも買木綿かいもめんを着る人が多くなっていた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)