国土こくど)” の例文
旧字:國土
梶原かじわら申しけるは、一歳ひととせ百日ひゃくにちひでりそうらひけるに、賀茂川かもがわ桂川かつらがわ水瀬みなせ切れて流れず、筒井つついの水も絶えて、国土こくどの悩みにて候ひけるに、——
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その岸を歩く童子などは胡麻粒ごまつぶの様だ。けれども今度こんどはドナウが婉々として国土こくどを限ってながれて居るありさまが見える。北方はウイルテンベルクであり、南方はバイエルンである。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
てもさめても余の思想はこの国土こくどより離れざりしなり、まことにや古昔こせきのギリシヤ人は現世を以て最上の楽園と信じ、彼らの思想は現世外にいでしこと実にれなりしとは、余も余の国を以て満足し
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
ほんとうに、こういう国土こくどまれたもののしあわせというものだ。
珍しい酒もり (新字新仮名) / 小川未明(著)
国土こくど山河さんがも何ならむ。
騎士と姫 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
国土こくど日本にっぽんとこしへの母
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
わが墳墓の国土こくど
国土こくど
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東方のドナウもついに国土こくどのなかに没した。僕は目金めがねを拭いてなお東方のドナウを見た。ドナウは、此処で Illerイルレル を合している。この川は南バイエルンのアルゴイ山中から発するものである。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)