をとり)” の例文
あみつたたか竹竿たけざをには鳥籠とりかごかゝつてました。そのなかにはをとりつてありまして、小鳥ことりむれそらとほたびこゑびました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「そんなに不服なら、山之助をこの俺の家へつれて來るがよい。黒雲五人男をおびき寄せるをとりくらゐにはなるだらう」
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
暫らく經つて岩井町の桃谷鬼一郎の家へも、をとり姿の八五郎は聲を掛けました。桃谷鬼一郎はもう寢て居りました。
このをとりになるとり呼聲よびごゑは、春先はるさきから稽古けいこをしたこゑですから、たかそらはうまでよくとほりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
つける代物ぢやありませんよ。たゞ、ちよいとその、へツ、與一兵衞の拵へぢや、役不足なんで。花川戸の助六かなんか、女の子の喜びさうなをとりぢやいけませんか
「そんなをとりでもなきや、八五郎やつんぼの幸吉が、毎日神妙な顏をして、しびれをきらしに通ふものか」
をとりとは言ひながら、八五郎を一人出してやるのが何んとなく心細かつたのでせう。
平次は幸三郎をおびき出すために、伜の幾松ををとりにしました。卑怯なやり方で、日頃の平次の好まないことですが、今となつては、幸三郎をおびき出すは、外にありさうもないのでした。
をとりに染吉をだまして僞金使ひの手先にしたが、段々うるさくなつて、變な樣子を
さらつて、山王樣の森の中に驅け込み、町の人達が多勢で追つたが、石垣の上にぢ上り、お清殿を小脇に抱へて、それををとりに、威張つて居る、——お清殿の命が危ない、何んとかならぬものか
その日の晝過ぎ、をとりさそはれた美しい鳥のやうに
をとりにして、其奴の顏が見てやりたう御座います
「止せば宜いのに——ありやをとりだつたんだ」