かたまり)” の例文
旧字:
ただ夢中になって反っちまって、白い胸を開けて見ると、肉へ響いて、かたまりが動いたと言います。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「雷鳴の最中には、監物殿のお邸のうえのあたりから、火のかたまりが、四方八方に飛び散った」
不動像の行方 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
男や女が仕事しかけた手を休めて、屋外そとへ出て見るとか、空を仰ぐとかする時は、きっと浅間の方に非常に大きな煙のかたまりが望まれる。そういう時だけ火山のふもとに住んでいるような心地こころもちを起させる。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私の頭には八番の陰火けちびと云うことが思いだされた。と、また松の上に火のかたまりが見えて、見えたかと思うと、またばらばらに散った。私の頭はじゃんとして体が痺れたようになった。
(新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
見たよ、なんでも俺が歩いていると、火のかたまりが、其処からも此処からも、一面に飛んで来るので、俺はその火に触るまいと思うて、彼方によけ、此方によけ、それをよけるに困ったよ
不動像の行方 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)