団飯むすび)” の例文
団飯むすびからあしごしらえの仕度まですっかりして後、叔母にも朝食をさせ、自分も十分にきっし、それからすきを見て飄然ふいと出てしまった。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
穴から少しりると阿蘇神社があるそのそばに小さな小屋があって番茶くらいはのませてくれる、そこへ逃げ込んで団飯むすびをかじって元気をつけて、また噴火口まで登った。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
家を出て二三町歩いてから持って出た脚絆きゃはんめ、団飯むすび風呂敷包ふろしきづつみをおのが手作りの穿替はきかえの草鞋わらじと共にくびにかけて背負い、腰の周囲まわりを軽くして、一ト筋の手拭てぬぐいほおかぶり
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そこでまた思い切ってその翌朝よくあさ、今度は団飯むすびもたくさんに用意する、かねも少しばかりずつ何ぞの折々に叔父にもらったのをめておいたのをひそかに取り出す、足ごしらえも厳重にする
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)