トップ
>
嗜慾
>
しよく
ふりがな文庫
“
嗜慾
(
しよく
)” の例文
野々宮さんも広田先生と同じく世外の趣はあるが、世外の功名心の為めに、流俗の
嗜慾
(
しよく
)
を遠ざけてゐるかの様に思はれる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
偏屈人に対しては妙に心理洞察のカンのある彼は、食道楽であるこの中老紳士の舌を、その方面から
暗
(
そら
)
んじてしまって、
嗜慾
(
しよく
)
をピアノの
鍵板
(
けんばん
)
のように操った。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼が新知識、特にオランダ渡りの新知識に対して強烈な
嗜慾
(
しよく
)
をもっていたことは到る処に明白に指摘されるのであるが、そういう知識をどこから得たか自分は分からない。
西鶴と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それを自分の
小遣
(
こづかい
)
として、任意に自分の
嗜慾
(
しよく
)
を満足するという彼女の条件は
直
(
ただ
)
ちに成立した。その代り彼女は津田といっしょに温泉へ行かない事になった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いまから考へると多分の
嫉妬
(
しっと
)
もあつたやうに思ふ。さういふ
険
(
けわ
)
しい
石火
(
いしび
)
を
截
(
き
)
り合つて、そこの
裂目
(
さけめ
)
から
汲
(
く
)
まれる案外甘い情感の滴り——その
嗜慾
(
しよく
)
に雪子は魅惑を感じた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
それは努めてしたのではないが、人の
嗜慾
(
しよく
)
に対し
間諜犬
(
かんちょうけん
)
のような
嗅覚
(
きゅうかく
)
を持つ彼の本能は自ずと働いていた。夫人の食品の好みは専門的に見て、素人なのだか玄人なのだか判らなかった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
なぜというと、一つは人を支配するための生活で、一つは自分の
嗜慾
(
しよく
)
を満足させるための生活なのだから、意味が全く違う。意味が違えば様子も違うのがもっともだといったような話であります。
中味と形式
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それに
較
(
くら
)
べると中背ではあるが異常に強壮な身体を持っている鼈四郎はあらゆる官能慾を
貪
(
むさぼ
)
るに堪えた。ある種の
嗜慾
(
しよく
)
以外は、貪り
能
(
あと
)
う飽和点を味い締められるが故に
却
(
かえ
)
って
恬淡
(
てんたん
)
になれた。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
何でも事物の精髄を
味
(
あじわ
)
ふことには、彼はどんらんな
嗜慾
(
しよく
)
を持つて居た。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
嗜
漢検1級
部首:⼝
13画
慾
漢検準1級
部首:⼼
15画
“嗜”で始まる語句
嗜
嗜好
嗜欲
嗜虐
嗜眠
嗜好品
嗜好物
嗜虐的
嗜食
嗜味