喊呼かんこ)” の例文
動揺どよめき立ち、それと共に、敵の馬印、金御幣も、った奪った、と揉み合うばかり喊呼かんこしてやまなかったが、ここで、困る問題は
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
喊呼かんこして、翌る日は、京都へはいった。しかし、信長のやかたに近づくと、一人として、槍を杖にも、立って歩ける兵はなかった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると突然真夜半まよなか静寂しじまを破って、一発の石砲がとどろいた。銅鑼どら、鼓、喊呼かんこなどを一つにして、わあっッという声が一瞬天地をけ去った。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
声は聞えるわけもないが、末森城の内でも、遠く、今浜の方を見て、全城の者が、わあッと、喊呼かんこをあげていたのである。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
喨々りょうりょう、鳴りわたる喇叭らっぱ、全山木々にいたるまで、どよめき、狂喜、喊呼かんこ。——そして鎮台中、生命いのちあるものすべて、声をあげて泣かぬはなかった。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一方の疎林から張嶷ちょうぎ、王平、を打って殺出し、一面の山陰からは、魏延、馬忠、喊呼かんこをあげて迫ってきた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
死せる如くみな呼吸いきをとめていた。——が、この一呼吸の後にあらわれたものは、歓びでもなく、喊呼かんこでもなく、くが如き蒼白な戦慄せんりつと無言の硬直であった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを、どう叩きつけて来たかは、あらしの如き人間の狂気じみた喊呼かんこにも吹かれて、全く覚えもない。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
思いがけない人間の生血を土中に吸って喊呼かんこして歓ぶのか、啾々しゅうしゅうとと憂いて樹心がくのか、その巨幹を梢の先まで戦慄させ、煙のような霧風を呼ぶたびに、傘下さんかの剣と人影へ
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたたび、天地もとどろくばかり、えいっおうっ——をさけぶうちに、それはただの喊呼かんことなり、歓声となり体じゅうの熱気と感動を空へ放って、あとは自らわれ知らず頬に流れ下る涙となった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両使は、淮南の境を出ると、喊呼かんこした。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)