トガ)” の例文
姫のトガは、姫がアガナふ。此寺、此二上山の下に居て、身のツグナひ、心の償ひした、と姫が得心するまでは、還るものとはオモやるな。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
波瀾の中で一人で気をもんだのだから仕方もないとトガめませんけれども、得手勝手ねえ。そして自分の得手勝手を対手の側に理由づけるところが気に入りません。
母ハ我ガハラナリ、胎ハ我ガ身命ノモトナリ。一命元ヨリ君家ニタクセド、君家未ダ兵馬ノ命ヲ発セズ、猶一日ノ無事アルヲウカガヒ、即チ、シチノ母ヲヌスミ、御辺ノ義ヲアザムク。罪大ナレド、非義ヲトガナカレ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
汝等ミマシタチ進んで、石城シキコボつて、新京の時世装にカナうた家作りに改めよと、仰せ下された。藤氏四流の如き、今に旧態をへざるは、モツトモソノ位に在るを顧みざるものぞ、とおトガめが降つた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
岡の陰から、恐る/\頭をさし出して問うた一人の寺奴ヤツコは、あるべからざる事を見た様に、自分自身をトガめるやうな声をかけた。女人の身として、這入ハヒることの出来ぬ結界を犯してゐたのだつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)