吸込すいこ)” の例文
貴方あなたなどは、才智さいちすぐれ、高潔こうけつではあり、ははちちとも高尚こうしょう感情かんじょう吸込すいこまれたかたですが、実際じっさい生活せいかつるやいなやただちつかれて病気びょうきになってしまわれたです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
お千代は樟脳しょうのうにおいを心持よさそうに吸込すいこみながら、抽斗を引きあけるたびに、まアまアと驚嘆の声を発し
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ふっくりとも、ほっかりとも、細い毛へ一つずつ日光を吸込すいこんで、おお、お前さんはあめで出来ているのではないかい、と言いたいほど、とろんとして、目を眠っている。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大魔の形体ぎょうたい、片隅の暗がりへ吸込すいこまれたようにすッと退いた、がはるかに小さく、およそ蛍の火ばかりになって、しかもそのきぬの色も、はかまの色も、顔の色も、かしらの毛の総髪そうがみも、鮮麗あざやかになお目に映る。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)