吠面ほえづら)” の例文
恩知らずの川村の畜生め! 餓鬼がき時分からの恩をも忘れちまいやがって、俺の頭をち割るなんて……覚えてろ! ぶち込まれてから吠面ほえづらくな……。
(新字新仮名) / 徳永直(著)
だから、あわよくば、彼のこの隠険いんけんな不正行為をあばいて、吠面ほえづらをかかせてやりたいものだとさえ思っていた。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その肝玉を踏み潰し、吠面ほえづらかゝし呉れむと意気込みて、いよ/\腕を磨きければ二十一歳の冬に入りて指南役甲賀昧心斎より柳生流の皆伝を受くるに到りぬ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「やい、よくも貴様は、おれの邪魔をしやがったな。よーし、今にみていろ、吠面ほえづらをかかしてやるからな」
太平洋魔城 (新字新仮名) / 海野十三(著)
吠面ほえづらさかいて、泣偶人なきにんぎゃうめ、幸福しあはせをば幸福しあはせともおもひをらいで、「嫁入よめいりはせぬ」の、「こひらぬ」の、「まだ年齡としはがゆかぬ」の、「ゆるしてくだされい」の、とぬかしをる。
その温和しいムクが怒るとこんなものなんだ、一疋の畜生に何百てえ人間が、吠面ほえづらいて逃げそこなっていやあがる、このうえ米友様の御機嫌を損ねたらどうするつもりだ、さあ通せ
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「うぬ。その吠面ほえづらにベソ掻くな」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その代り一分一厘間違い無しに証拠不充分になって見せるから、その時に吠面ほえづらかくな……。
冗談に殺す (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「この豆蔵、今に、吠面ほえづらかくな」
踊る一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)