可羞はづか)” の例文
「そのかはり、御蔭で好い事を覺えましたよ——木綿の衣服きものを着て何處へ出ても、すこしも可羞はづかしいと思はなくなりましたよ。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いと更におもてつつまほしきこの場を、頭巾脱ぎたる彼の可羞はづかしさと切なさとは幾許いかばかりなりけん、打赧うちあかめたる顔はき所あらぬやうに、人堵ひとがきの内を急足いそぎあし辿たどりたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
可羞はづかしい、とはいへ心の底から絞出しぼりだした真実まことの懴悔を聞いて、一生を卑賤いやしい穢多の子に寄せる人が有らうとは。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かく言ひてひとしく笑へり。静緒は客遇きやくあしらひに慣れたれば、可羞はづかしげに見えながらも話を求むるにはつたなからざりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
貴方あなたも一つ御上りなすつて下さい。』と銀之助は可羞はづかしがるお志保の手から無理やりに酒瓶てうしを受取つて、かはりに盃を勧め乍ら、『さあ、僕が御酌しませう。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼はひそかに宮と語らんことを望めるなり、宮はなほ言はずして可羞はづかしげに打笑うちゑめり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と私が笑ひますと、子供は可羞はづかしさうにして笑つて