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厠
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はばかり
ふりがな文庫
“
厠
(
はばかり
)” の例文
やがて
厠
(
はばかり
)
の板戸を鳴らして額へ太い皺を寄せた器量のよくない血色の悪い四十女が、乳呑児を横抱きにして、手も洗わないで出てきた。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
祖母はその間に
厠
(
はばかり
)
へゆくふりをして、すっかり
家中
(
うちじゅう
)
を見てきた。外に
見張
(
みはり
)
が一人いるのが蔵の二階の窓から月の光りで見えた。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「涼みに出る時節でもないし、
厠
(
はばかり
)
を取りちがえるそなたでもないし、まさか、男と忍び合うような
大外
(
だいそ
)
れた小娘でもあるまいし、のう——深雪」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
そこで初めて、人びとはこれが俗に云う髷きりだと云うことを知ったが、それ以来
彼
(
か
)
の
厠
(
はばかり
)
は
何人
(
だれ
)
も使わなくなった。
簪につけた短冊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ややあって、どこかで一ツ
咳払
(
せきばら
)
いがしたかと思うと、
厠
(
はばかり
)
の戸のさるがカタンといった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
どうせ私は田舎などへ帰りゃしませんよ。嫁にだって行きゃしません。家で怒ってかまわなくなったって何でもありゃしない。金沢で下宿の
厠
(
はばかり
)
の掃除までしたことを思や、自分一人ぐらい何を
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「お父さん、ここのお家、
厠
(
はばかり
)
はどこなの。」
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
丁度首
斬
(
き
)
り場のあたりだったというところの柳の木が、
厠
(
はばかり
)
の小窓から見える
古帳面屋
(
ふるちょうめんや
)
の友達のうちから帰って来て、あたしが話したつづきからだった。
旧聞日本橋:17 牢屋の原
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「それにこの家の
厠
(
はばかり
)
の位置が、私何だか気に喰いませんよ。」
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
祖母
(
おばあ
)
さんが
厠
(
はばかり
)
へゆきたくなったとお言いだから、
開
(
あ
)
けてもらいましょうというと、なに頼みなんぞおしなさんな、
先方
(
むこう
)
から悪かったと開けにくるまで
投
(
ほ
)
ったらかしておおき
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
アンポンタンの
家
(
うち
)
の小さい女中は、裏の方にある
厠
(
はばかり
)
から出たとき、すぐそばをスーッと流れていったのでキャッと声をたてた。祖母は
金玉
(
かねだま
)
だといった。
金盥
(
かなだらい
)
か
鍋
(
なべ
)
でふせなければだめなのだといった。
旧聞日本橋:17 牢屋の原
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
厠
漢検1級
部首:⼚
11画
“厠”を含む語句
厠上
上厠
東厠
厠籌
軽便厠
稚厠
洋風厠
御厠人
小厠
外厠
厠通
厠草履
厠臭
厠溷
厠椅子
厠戸
厠役
厠卒
厠与
上厠頻数
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