“勾欄(てすり)” の例文
こんな噂(うわさ)をしているが、窓の上高く、三階の勾欄(てすり)のあたりを見上げた時、何かこの晴れ渡った白骨温泉場の空気の底に、抜け穴があって、張りきったものが
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
画題は〈楊貴妃〉それもあの湯上りの美しい肌を柔らかな羅(うすもの)に包んで勾欄(てすり)に凭れながら夢殿の花園を望んで見ると言った構図で、尤も湯上りと言いますと何だか意気に
其処に飾付(かざりつけ)て在ッた木像(にんぎょう)の顔が文三の欠伸(あくび)をした面相(かおつき)に酷(よ)く肖(に)ているとか昇の云ッたのが可笑しいといって、お勢が嬌面(かお)に袖を加(あ)てて、勾欄(てすり)におッ被(かぶ)さッて笑い出したので
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そうして油揚(あぶらげ)の胴を干瓢(かんぴょう)で結(いわ)えた稲荷鮨(いなりずし)の恰好(かっこう)に似たものを、上から下へ落した。彼は勾欄(てすり)につらまって何度も下を覗(のぞ)いて見た。しかし誰もそれを取ってくれるものはなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)