剛気ごうき)” の例文
ただ一呑ひとのみ屏風倒びょうぶだおしくずれんずるすさまじさに、剛気ごうき船子ふなこ啊呀あなやと驚き、かいなの力を失うひまに、へさきはくるりと波にひかれて、船はあやうかたぶきぬ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
文章を書いても、物のあわれというような弁えのある武士であり、どこに、剛気ごうきとか、武術とかいうものを潜めているのかと疑われる位なのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は彼の健康を気遣きづかいました。しかし剛気ごうきな彼は笑うだけで、少しも私の注意に取り合いませんでした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしいくら剛気ごうきなお内儀さんでも両手に乳飲子をかかえた畑仕事はさすがに手に余ったのでしょう。
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
ああ、剛気ごうきなやつよ。一をもって万に当る。平八郎とやらは、まさに、大丈夫というべき者だ。おのれは、ここに死して、一刻たりと、われを龍泉寺川にはばめ、主人家康を
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)