前哨ぜんしょう)” の例文
彼は前哨ぜんしょうの全線を見回って、あちこちに立ち止まっては騎哨に言葉をかけた。二時半にウーゴモンの森の近くに、彼は一縦隊の行進する足音を聞いた。
前哨ぜんしょうの散兵陣地、尖角せんかく陣地、第二陣地、ほとんど一溜ひとたまりもなく押し崩され、中軍の寺院附近は、それらのすなき将兵や馬のいななきで埋まっていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして思いもかけぬ間道を先くぐりして突然前哨ぜんしょうの面前に顔を突き出して笑っているようなところがある。
時事雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ひるたけがあり、塔ヶ岳があって、それからまたいったん絶えたるが如くして、大山阿夫利山おおやまあふりさん突兀とっこつとして、東海と平野の前哨ぜんしょうの地位に、孤風をさらして立つ。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
南へわずか十二露里ろり(約三里)の処に在る日本軍の前哨ぜんしょうまで、鉄道線路伝いによろめいて来る間のことです。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この雪は生きていました。それは雪の女王の前哨ぜんしょうでした。そして、ずいぶんへんてこな形をしていました。
前哨ぜんしょうたる米屋の店と聯絡れんらくを取って、何かの便宜べんぎを計るためであったことはいうまでもない。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
戦列兵か郊外兵かの前哨ぜんしょうに行き当たる。労働服をつけ縁無し帽をかぶって通ればすぐ向こうの目につく。どこからきたか、防寨からではないか、と問われる。そして手を