前々まえ/\)” の例文
何処どこと云って尋ねて参る処も有りませんが、小日向こびなた水道町に今井玄秀いまいげんしゅうと申す医者が有ります、其の娘と手習朋輩で前々まえ/\懇意に致した事が有りますが
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
只今はういうお身形みなりだが、前々まえ/\しかるべきお身の上のお方と存じます、左もなくて腕がなければ中々又市を一うちにお打ちなさる事は出来ぬ事でな
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
の藩中でもあるいは御家人旗下はたもとのような処へでも養子にって、一廉ひとかどの武士に成れば、貴様も己に向って前々まえ/\御高恩を得たから申上ぐるが、それはお宜しくない
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お隅様も結構な方でございますが、前々まえ/\承れば、水街道の麹屋で客の相手に出た方、縁あって御当家へいらっしゃったが、お隅様のまえで申しては済みませんが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どうか又贔屓にして斯ういう事が有ったら前々まえ/\屋敷にいた時の馴染もあるから呼んでやってくれ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貴方は此方こちら大家たいけと心得て入らしったか知りませんが、今の伊之助も前々まえ/\の身の上ではありません、只今にも勘当をされる次第に成って居りますから、息子株では有りません
飛んだとこへ手前縁付かたづいたな、其の三藏と言うは前々まえ/\朋輩ほうばいで、わしが下總屋にるうち、お園という女を若気の至りで殺し、それを訴人したは三藏、それから斯様な身の上に成ったるも三藏故
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
狗畜生いぬちくしょう、やい手前はな父を討ったに相違ない、手前は召使めしつかいの菊を殺し、又家来林藏も斬殺きりころし、其の上ならず不義密通だと云って宿やどへ死骸を下げたが、其の前々まえ/\菊が悪事の段々を細かに書いて
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何うせ果は中風よい/\だ、はゝゝだが酒が一滴も通らなけりア口の利けねえ徳藏だ、かねてお前も知ってる通りのことだ、前々まえ/\勤務つとめをしている時分にも宜しく無いから飲むなてえが、飲まんけりアたまらん
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)